バベル
みんなが唖然としている中、笹野結花が現れた。
マスクを外した『彼女』が。
《真船洋一、伊達優里奈死亡。犠牲者、皆川龍哉。》
「アハハハハ!!
フハハハハハハ!!
やってやった!
全部シナリオ通りよ!
完璧!!皆さん、驚いていらっしゃいますね。まさに私の思い描いた画だわ!」
「―…お前は、誰だ?死ぬのは何故、青木じゃないんだ?」
「フフフ。
これが《本当の私》よ。
今までのは全部演技に決まってるじゃない。
青木さん、貴方には悪いと思っています。
貴方のことは尊敬していますけど、愛していないわ。」
「結花、君はまだ愛していたんですね。皆川君を。
そして復讐のために生きてきた。
…僕はすべて知っていましたよ。」
「青木さん?!じゃあ、どうして…」
凛が声を荒げる。
彼は悲しく笑って言った。
「僕は、それでも彼女を愛していたんですよ。愚かかもしれませんけどね。」
結花の表情が曇る
「笹野さん、貴女はこんなに自分を愛してくれている人を傷つけた…。どうしてこんなことをしたんだ!!」
真也が普段は見せないような悔しそうな顔をする。
「私の目的は復讐だけよ。愛なんか…愛なんて、夢物語でしか…な、いんだから!!」
彼女は座り込み、コンクリートの床にシミを作った。