バベル
しかし、
楓は自分で墓穴を掘ってしまった。
床に薬品とナイフが
散らばっている。
「楓?」
潤は訝しげな眼差しで
楓を見つめる。
「まさか、
あんたが黒幕か?」
「違う!!そうじゃない!」
「楓、ちゃんと説明して。」
潤の視線に楓は安心した。
“俺はお前を信じる。”
そう言いたげに
こっちを見ている。
「この中に、
あたしの依頼者がいるの。
“敵を打ってほしい”って。」
「つまり、
“笹野結花を殺せ。”
ってことか。」
楓は潤の言葉に頷く。
「でも誰がそんなこと…。」
優奈は不審に思った。
「結花さんを
一番大事に想ってる青木さんが
そんなこと言うわけないし…」
「…島村さん、あなたでしょ?」
結花が凜を見つめた。
凪も 信じられない、
という風に凜を凝視している。
「あなた、青木さんのこと…」
「何を根拠にそんなことを?」
結花を代弁して楓は言った。
「あなたの行動よ。
この数時間、
あなたが一番一緒にいた相手は
恋人の戸倉ではなく青木だった。」