バベル


「きっと、凜さんと青木さんは
似た者同士だったんだと思います。
愛している相手に、
愛されている自信がない。

だから、お互い慰めあった。

寂しいから…。」


「そうなのかもしれない。」

静かに青木は言った。

「…僕は、
結花と付き合い始めてすぐ
彼女が僕を愛していない、
そう気付きました。

でも、それでもいいって
毎日、自分に言い聞かせました。」


「どうして、そんなこと…」


真也が言った。

「僕は、彼女以外を愛せない。

あなたが、
村井さんを大切に思うように。

人を愛する、ということは
数学や科学のように
理屈では説明出来ないんです。」


青木の言葉は
妙に説得力があった。


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