バベル


結花は、転がっていたナイフを
手に取って言った。



「島村さん、青木さん。
これで私を…殺して。」



2人はすごく悲しい顔をした。


「酷なことだってわかってます。
今の島村さんが
私を殺したいって
思っていないことも。

でも、最期にワガママを
聞いてほしいんです。

貴方たちに看取られたいの…。」



そう言う結花は
先ほどまでとは打って変わり

とても美しい瞳をしていた。




―――パァン!



静かな部屋に銃声がひとつ。





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