バベル


そう諭す 結花の瞳は


強く 優しいものだった。



「島村さん、戸倉さん。

青木を…よろしくお願いします。」


丁寧に2人一礼して、
青木に向き直る。


「青木さん。
ワガママ、訊いてください。」


「…何ですか?」


「手を、握ってほしいの。」

「…っ!!!
わかりました。」


「さぁ、打ちなさい。」


皆川の手を
自分の首筋にあてがい、促した。

「私が、憎いなら、早く。」





―――パァン!




床には赤い血と
結花の亡骸が ただ虚しくあった。


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