バベル


《楓Side》

「楓、」

「ん?」

「青木から目を離すな。」

突然 話し掛けてきたと思ったら
青木のことを心配しだすなんて。


「珍しいね、
潤が他人の心配なんてさ。」


「俺が心配してるのは
青木じゃない。楓だ。」

「は?」


だって今言ったじゃん、青木って。


「青木がいなくなって
一番困るのは楓だろ?」


彼は鋭利なガラスの破片のような声でそう言った。


マスクはとっくに破られていた。



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