バベル


《涼Side》


結花が死んだ。


受け入れられるわけがなくて
何度も死体に触れてみた。

赤いグロスの光る唇には
微かに微笑みが称えられていて
彼女の肌は雪みたいに冷たくて。
白雪姫だと思った。

童話の白雪姫みたいに
僕がキスをして
君が息を吹き返してくれたら
どれほど幸せだろうか…

でもそれは叶わない。

時間が経って赤黒くなった
彼女の血液がそう告げている。


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