バベル
一口 食べると
「おいしい…」
と言わずにいられなかった。
「よかった…。」
彼は心底安心したように微笑んだ。
「冷蔵庫、
ビールばっかりだったでしょ。」
「うん。びっくりした。
…あの、ごめん。
昨日初めて会ったのに
家泊めてもらって…。」
「別に気にしなくていいよ。
あたししか住んでないんだし。
…あ。名前まだ教えてないよね。
あたしは優奈20歳。あんたは?」
「織田真也。21歳。」
「あたしより年上だったんだ。
…で、なんであんなところに
うずくまってたわけ?家出?」
あたしがそう聞くと
急に彼は表情を曇らせた。