バベル
消去
真也は一通り話し終えると
コーヒーを一気に飲み干した。
「だったらさ、忘れちゃえば?」
「え?」
「自分がどうやってここに来たかも
わからないってことは、それだけ辛い記憶なんだろうし。
だったら、全部無かったことにすればいいじゃん。
あんたは父親を殺してないし、その動機もない。」
「でも!父さんは死んだんだぞ?!
それは変えられない事実だろ。」
どうやって殺したか、わからないのよね。
もし、物的証拠なんかあったら終わりじゃない。
だったら…
「戸籍を変えてしまえばいいのよ。」