桜の恋模様

｢双子は……｣

最悪？

『なぁ、桜ちゃんはどうだ？』


『お前それなら断然桃ちゃんの方が良いだろ。』


『桜ちゃんも悪くは無いけど何かパッとしないんだよなぁ〜』


『桃ちゃんは明るくて元気で可愛いよなぁ〜』


『俺は桜ちゃん良いと思うぜ？』


『お前それ、体目当てだろう。』


男子はそう言って、女子の品定めをしてケラケラと笑っていた。


私は忘れ物を取りに来たのも忘れてその場から逃げ出していた。


昔からそうだった、周りの大人達はこぞって『桃の方が可愛い』とか、『どうして双子なのにここまで違うんだろう』とか


理解して無いと思われているのか、そう言われることが多かった。


両親も兄達も皆揃って桃の取り合いをしていた。


皆が望んでいた初めての女の子だったから…


私も全く相手にされなかった訳では無いが、それでも桃の方が愛されているのは確かだった。


双子と言っても二卵生双生児の私達はそれほど似ていない。


性格も明るくて人懐っこい桃。


桃は私から見ても可愛いと思う。


そんな桃に比べて極度な人見知りの私はそんな桃の後ろにくっついてばかりだ。


だから余計に比べられたりするんだと思う。