約束 ~生きていく君へ 余命半年と告げられて
「真幸。」
両親の前で差し出された
婚姻届。
籍を急いで入れようとするのは
わたしへの思いやりだと思って
いたよ。
温人が突然目の前から消えて、
わたしが不安がっていたのを
知っている亮君だから。
一日でも早く、ちゃんとした
形をわたしに示してくれたん
だと。
わたしへの愛情かと。
愛情・・・。
それはまちがいないか。
どんな嘘のうえになりたった
愛情でも。
何も知らなかったわたしは
あなたの名前の横に自分の
名前を書いた。
緊張で手が震えたね。
間違わないように、一生懸命
だったよね。
今日から、ふたりで生きていく。
今もし目の前に温人が現れたと
してももう迷わない。
もう振り返らない。
わたしは前を向いていく。
そう思っていたんだ。