大切
出逢い−推薦入試−
高校推薦入試当日−−。
(どうしよう…次は私の番だ…)
手はぶるぶる,足はガタガタ,きっと顔も青ざめているに違いない。
私は震える手に,ぎゅっとお守りを握りしめた。
…なんだかお腹も痛くなってきたみたい。
この日の為に,沢山練習したんだから,絶対に大丈夫
…そぅ何度も自分に言い聞かせた。それでも,一向に緊張は治まらない。
(受からなかったらどうしよう……)
私,斎藤夏美は,誰もが認める緊張性である。
それも『超』がつく程の!
人前に出ると,頭の中が突然真っ白になって,何も言えなくなってしまう。
泣き出してしまったことさえあった。
その為,中学では出来るだけ人前に出るようなことは避け,静かに過ごしてきた。
勿論,人見知りもかなり激しかったが,幸い友達には恵まれ,楽しく過ごしていた。
それでも,「このままではいけない。高校ではこの超緊張性を直して,強い自分なる!」と心に誓い,仲のいい友達とはわざと違う高校を選んだのだ。