大切
驚いて振り返ると,さっきの男の子が後ろから私の手を掴んでいた。
「…これ,忘れ物。大事なもんでしょ?」
「…あっ…」
彼の手には,さっきまで私が大事に握りしめていたお守りがあった。
わざわざこれのために私を呼び止めてくれるなんて…
「…っ,ありがとう!」
そう言って顔を上げた瞬間、彼と目があった。
…透き通るような、大きな瞳。
一瞬にして、彼の目に吸い込まれたようだった。
「…面接,頑張れっ!」
そぅ言うと,彼はにこっと笑い,私にお守りを渡してくれた。
…なんだか,少し,緊張が解れた気がした。