恋心
ギシギシと階段を上がる音。


音は玄関のドアの前で止まる。


私は玄関まで走ってドアを開ける。


「おかえりなさい、お父さん。
お仕事お疲れ様でした。」


玄関ドアを開けて、徹ちゃんのお父さんが警備の夜勤の仕事から帰ってきた。


「ただいま恵理ちゃん。
ただいま徹。」


「おかえり、すぐごはんにするよ。」


玄関脇の小さなキッチンでごはんをよそってる徹ちゃん。


「どれ、着替えて来るよ。」

自分の部屋に入るお父さん。


その背中には、土日も仕事していた、エリートサラリーマンの面影はない。


かっこよくスーツを着て、いつも忙しそうにしていたお父さん。


一緒にごはんを食べるなんて、前はなかったな。
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