一匹狼と無邪気なワンコ
手出して、と言ってきたので両手を差し出すと、そこには俺の大好物が二つのっていた。
「――えっ!! マジで!? 売り切れてなかったんだ!?」
「アハハ! 落ち着けしぃ。購買に行ったら二個残ってたからさ。陸コレ好きだもんねぇ」
「ちょー嬉しい!! ありがと!! ちょっと待ってね」
左腕に大好物を抱きかかえながら財布からお金を出そうとする俺を、その子は急いで制止した。
「何やってんのぉ? 別にいらないし。好意だと思って受け取れって感じでしょ?」