一匹狼と無邪気なワンコ

「無い」
 


 コイツと居ると俺は絶対優位になれない。


 そして調子が狂う。


 すぐに体制を立て直してもまたすぐ転ばされてしまう。


「ん~、多分ほとんど売り切れてるだろうけど……購買行ってみる?」


 そう告げたほんの一瞬、狼の顔が嬉しそうに見えた。



 ――いや、見えたんじゃない。


 確実に嬉しそうな顔をしていた。

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