愛なんて無かった


息苦しくて大きく深呼吸しようとしてまた口を塞がれる。


何かに飢えたように貪り合うのは愛なんかじゃない。


寂しさを隠す。
強くはないから隠す。


あたしと『彼』のこの行為に意味があるとすればただ孤独を分かち合う事。


偽りの、その場しのぎの馴れ合い。



息苦しさが全てを忘れさせてくれる。

そして意識が白く霞んで、あたしは溺れる。


愛の無い、この行為に。



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