愛なんて無かった
第2章
同じ温もり
同じ『彼』に抱かれるのは初めてかもしれない。
はっきりとは覚えていないけれど。
昨夜の『彼』とは違う優しいキスは、あたしの中の何かを溶かそうとしているみたいで、少し嫌だと思った。
「ミホ」
あたしを呼んでいる声。
だけどそれはあたしの名前じゃない。
でも、あたしを呼んでいる。
閉じていた瞼を開けば真っ直ぐにあたしをみつめる瞳。
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同じ温もり