愛なんて無かった
シャワーを浴びれば、気持ちも身体もさっぱりした気がした。
もう信じたいなんて思わないし、“また”も無い。
いつも通りを意識しながらバスルームを出る。
ドアを開ければやたらと大きいベッドが目に入る。
そういう場所だから当たり前。
濡れたままの髪の毛が頬を濡らす。
あたしが今見てるのはベッド、じゃなくて其処に座るリクの背中。
それが何故か寂しく見えたから、
広い背中なのに頼りなく見えたから、
あたしはそっと抱き締めた。