愛なんて無かった
その腕は解かれることはなくあたしを溶かそうとする。
ゆっくりと頭を撫でる手はあたしの思考を惑わす。
「こう見えてもさぁ…冗談なんか今まで言ったこと無いんだけど」
絶対ウソだって思うのに。
冗談を言う顔だよその顔は、って思うのに。
何故か。
「…飼い猫って自由あるの?」
また、リクに問いかけるあたしが此処にいて。
それはどうやらリクの提案に乗ったようだと気づいたのは、柔らかく笑ったリクを見上げた時だった。