hikari【短編集】
ちなみに、中津にはさっきおもいっきり怒鳴っておいた。
近くにいた茉央は泣きそうな顔で俺を見ていたが…
怒らざるを得なかった。
俺は仕事で学校に残ってたのに、それを浮気してる扱いされるなんて…許せなかったから。
でも…
すぐに謝った。
浮気してると思われた俺も悪いんだと、すぐ気付いたから─
こんなことになるなら…
ちゃんと話すべきだった。
俺は、希なら何も言わなくてもわかってくれると、どこかで安心してた。
バカだな…俺。
筋金入りの大バカだ。
「希………」
そんな思いを抱えながら、俺はドアの向こうにいる希に呼びかけた。
もちろんと言うべきか…希からの返事はない。
…それでもいい。
俺は続けた。
「俺が悪かった。聞いたよ。中津から、全部。」
そう言って、俺はドア越しではあるけど、今までのことを包み隠さず全て話した。
「…ごめんな、希。俺また……お前を傷付けた。また、泣かせた……」
最低だ。
最低だよ……俺。
「ごめん………」
もう俺は─
謝ることしか出来なかった。