hikari【短編集】
それから約6ヶ月後の初夏─
「おめでとうございます。元気な男の子ですよー!」
大きな産声と共に、待ちわびた俺たちの子供が生まれてきた。
感動のあまり、その場から一歩も動けない俺。
「かーくん……?」
「…へ?」
「ほら…見て、可愛いよ。」
出産を終えたばかりで疲れてるはずなのに、希は俺に笑顔を向けていた。
「お父さん、赤ちゃん…抱っこされますか?」
助産師さんはそう言うと、希の隣にいた赤ちゃんを慎重に抱き上げ、俺の近くに持って来た。
戸惑う俺に笑顔を向け、助産師さんは優しくそっと赤ちゃんを俺に手渡した。
「あら…?赤ちゃん、お父さんにそっくりですね。」
お父さんって…
あ…俺のこと、か。