hikari【短編集】
「…わかん、ない…」
本当にわからないんだ…
自分が何でこんな気持ちになってるのか、何でかーくんに電話してるのか……
『…そっか。わかんないか。それなら…仕方ないな。』
「え…?」
『俺も専門外はよくわかんない。今な……数学の問題の解き方を聞かれた気分だ。』
社会科の先生に数学の問題を聞くの……?
『…話せよ、希。』
「………」
『公式、教えてくれたら解けるかもしれない。だから……な?』
これって……
私を…慰めてくれてる?
「なに?それ……」
わざと気付かないフリをして、私は尋ねる。
『はぁ…やっぱ俺、例え話は苦手だなー…遠回しすぎなのかな?上手く伝わんない。』
…伝わってるよ。