hikari【短編集】
「名前…何にする?」
しばらくして病室に戻った後、希は赤ちゃんを抱きながら俺に尋ねた。
名前かぁ…
名前は一生ものだから、親である俺たちが、ちゃんと考えてやらないと─
でも…
「どうしよう…?」
生まれる前から考えてはいたけど、いざとなるといいのが出て来ない。
「かーくんが、決めて。」
え…俺が?
「ね?お願い……パパ。」
希は満面の笑みを浮かべながら、俺に向かって『パパ』と言った。
そうだ…
俺はもう…父親なんだ─
まだイマイチ受け入れられないというか、おかしな気分だけど…
「…よし、決めた!」
「え…もう?」
驚く希に笑いかけ、俺は赤ちゃんの頬を人差し指で優しく突っついた。
「………茉央【マオ】。」