hikari【短編集】
おいおい…
やめてくれよ、陽翔。
俺は、お前とはこれからもいい友達でいたいと思ってるんだ。
だから…
ソレを俺にくれるな…
友達同士が渡す『友チョコ』なんてものがあるのは知っている。
だが…
俺らみたいな男がそれをしたら変じゃないか…?
「何だよ、一真……いらないの?」
「…………」
怪訝な顔をする陽翔に、俺は何と返したらいいかわからなかった。
仕方なく、無言で陽翔の手元にあるチョコらしきものの包みに視線を当てる。
「…せっかく佳純が一真にって作ったのにー……」
……何、だと?
陽翔…
お前今、何と言った?
「おま……っ、それを早く言えよ!!」
陽翔の呟きのような言葉を聞き、俺は今までの迷いを即座に捨て、陽翔から包みを引ったくった。
「……はぁ?」
それと同時に驚いた表情を見せた陽翔は、一転してまた怪訝な顔をする。