hikari【短編集】
俺はそう言うと、近くにあった紙に『茉央』と漢字で書いて、希に見せた。
「なんとなくだけど…爽やかな感じがいいかな〜ってずっと思ってて、辞書で調べてる時にこの字、偶然見つけたんだ。」
『茉』という漢字を見た途端、これ名前に使いたい!って思ったんだよな…
普段はあまり見ない漢字だけど─
この字なら男の子でも女の子でも合いそうだし…
子供の性別は、生まれてからのお楽しみにしたいと希が言ったから、事前に教えてもらわなかったしな。
「茉央、かぁ…うん、すごくいい名前だと思う。よかったね…茉央くん。パパがカッコいい名前、付けてくれたよ。」
「希……いいのか?」
「うん。最初から、名前はかーくんに決めてもらおうと思ってたの。ね〜、茉央くん♪」
希が話しかけると、茉央が微かに笑ったように見えた。
こうして…
この日、新しい家族が増えた。
茉央…
俺たちのところに生まれてきてくれて、本当にありがとう。
まだまだ頼りないパパだけど、これから一緒に頑張っていこうな。
愛してるよ…
希、茉央─
―END―