hikari【短編集】



「…そっか。」



ママは、僕の話を何も言わないで聞いてくれた。



「悲しかったね……ごめんね。ママ、気付かなくて。」



「ううん……」



僕をギュッと抱きしめながら、ママは何回も『ごめんね』と言った。



ママは悪くないのに─



「パパ、僕ばっかり怒る……僕のこと、嫌いになっちゃったのかなぁ……?」



「そんなことないよ……あるはずない。」



泣きそうになる僕に、ママは優しく言ってくれた。



「パパが茉央のこと嫌いになるなんて、そんなの絶対あり得ないよ。大丈夫、大丈夫……」



でも……



「…パパはね、きっと、茉央に優しくなって欲しいんだよ。」



え…?
優しく、なる…?



「茉央には、ゆーちゃんのお兄ちゃんとして、誰よりも優しくなって欲しいって、そう思ってるの。」



ママ……



「パパも不器用だから……ちゃんと伝えられないんだと思う。茉央……パパの気持ち、わかってあげて?」



パパの、気持ち……









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