hikari【短編集】
それからママは、パパの話をいっぱいしてくれた。
パパにはお兄ちゃんがいて、そのお兄ちゃんがとっても優しいこと……
パパもお兄ちゃんのこと、恥ずかしくて言わないけど大好きなんだって……
「ママにはお兄ちゃんもお姉ちゃんも、弟も妹もいないから……羨ましいよ?パパや茉央や結愛のこと。」
「……?」
「茉央は、ゆーちゃんのこと、どう思う?」
「大好き……だよ?」
思ったことをそのまま言うと、ママは嬉しそうに笑った。
「そうだよね?だったら茉央は、ゆーちゃんを守ってあげなきゃダメだよね?」
守って、あげる……
「…うん。僕、ゆーちゃんのお兄ちゃんだから……ゆーちゃん、僕より小っちゃいから……」
「そう。偉いね…茉央。」
ママに頭を撫でられて、僕は思わず笑ってしまった。
「茉央は優しい子だって、ママは知ってるよ?でも……そんな茉央だから、もっと優しくなれる。強くなれる。」
「…うん。」
パパは……
僕にこれを言いたかったんだ─
「もう…大丈夫だね?」
「ありがとう…ママ。」