hikari【短編集】
俺の高校時代の部活顧問で、日本史の担当教師。
そして……
今は希の旦那の、杉田だった─
「何か用事…?」
驚く俺を尻目に、杉田はそう尋ねてあくびをした。
今日は日曜日。
どうやら目の前の教師も休みだったようだ。
「い、いや…その、…あ、希は……?」
「希……?あぁ、希に会いに来たのか。にしてもお前、タイミング悪いな。希なら、今さっき出掛けたとこ。」
「マジかよー…」
杉田の言う通りだ。
タイミング悪すぎる─
「…まぁ、買い物に行っただけだしすぐ戻るだろ。どうしても会いたいなら…上がって待ってるか?」
「へ……?」
希がいないなら来た意味もないし、どうしようか迷っていると、杉田が意外なことを言った。
「俺は別にどっちでもいいけど。どうする?」
「…じゃあ、お邪魔します。」
どうせ今日はバイトも休みだし、何の予定もない。
家に帰っても暇だし、俺は杉田の提案に乗ることにした。