hikari【短編集】
真実を知り、少し落ち込み気味の俺に、杉田はさらに追い討ちをかける。
「勉強は筋金入りに大嫌いだから、下位補習の常連だって、職員室では有名人だったんだぞ?お前。」
「………」
あの頃は何とも思ってなかったが、今となってはそれは恥ずかしい過去だ。
希の言う通り、勉強もちゃんとしてればよかった─
「熱中するのはバスケと希のことだけって言っても過言じゃないのに、そんなお前が大学行くなんて聞いた時は……もう、自分の耳疑ったよ。」
杉田……
「しかも、俺と同じ史学部だし。…今だから言うけど、初めはちゃんと続けられんのか?って思ってた。」
途中で時々コーヒーに口を付けながら、杉田は話を続ける。
「でも、そんな心配は全く必要なかったな。現にお前、大学生活楽しくやってるみたいだし。」
そう言って、杉田は俺に向かって笑顔を見せた。
そして、杉田はその笑顔に面食らった俺の頭に手を伸ばし、軽くポンッと叩いた。
「…今度は、卒業まで見守らせてくれよな?」