hikari【短編集】
卒業、か。
……そう、だよな。
杉田は、俺らが高校3年になるのと同時に離島に異動になったんだ。
だから、俺らの卒業まで見ることは出来なかった。
高校出てからもこんな風に付き合いがあるからあんまり気にしてなかったけど、杉田はやっぱり気になるんだな……
「…あぁ、約束する。」
「中津……」
「俺さ、杉田のこと……恩師だって思ってるから。」
あーあ…
ついに言っちまったよ─
「……っ!!」
さっきまで俺がそうだったのに、今度は杉田が面食らったような顔で俺を見ている。
「…これでもさ、感謝してんだぜ?俺……杉田に会えて、本当によかった。」
この際だから全部言ってしまえ!と、俺は思っていたことを全て杉田に伝えた。
「……バカが。いきなり何言い出すんだよ……」
一方の杉田は、俺から顔を反らし、少し上を向いていた。
「ありがとな、…先生。」
杉田の目に光る涙に気付かないフリをして……
多分初めてだろう。
『先生』と、はっきりそう呼んでみた。