hikari【短編集】



それからは…
まぁ、大変だった。



杉田を『先生』と呼んだ直後、希が買い物から帰って来た。



玄関先から聞こえた希の声に反応して、杉田は立ち上がって希を出迎えに行った。



……ように見えたのだが─



「あー、やっぱり悠哉だ。もう……来るなら連絡してよねー」



「…悪い。」



「ゆうやおにいちゃん!」



しばらくして、希と茉央が俺の前に姿を見せたが、どれだけ待っても杉田は現れなかった。



「おぉ、茉央。久しぶりだなー。…で、希。杉田は?」



駆け寄ってきた茉央を抱き上げて笑顔を向けた後、俺は希にそう尋ねた。



「ん?かーくん?さっき自分の部屋行ったよ。声かけたけど、無視されちゃった…」



無視?
杉田が希を…?



信じられない。



「なんか変だったなー…悠哉、かーくんに何か言ったの?」



「いや……別に。」






< 153 / 237 >

この作品をシェア

pagetop