hikari【短編集】
それからは…
まぁ、大変だった。
杉田を『先生』と呼んだ直後、希が買い物から帰って来た。
玄関先から聞こえた希の声に反応して、杉田は立ち上がって希を出迎えに行った。
……ように見えたのだが─
「あー、やっぱり悠哉だ。もう……来るなら連絡してよねー」
「…悪い。」
「ゆうやおにいちゃん!」
しばらくして、希と茉央が俺の前に姿を見せたが、どれだけ待っても杉田は現れなかった。
「おぉ、茉央。久しぶりだなー。…で、希。杉田は?」
駆け寄ってきた茉央を抱き上げて笑顔を向けた後、俺は希にそう尋ねた。
「ん?かーくん?さっき自分の部屋行ったよ。声かけたけど、無視されちゃった…」
無視?
杉田が希を…?
信じられない。
「なんか変だったなー…悠哉、かーくんに何か言ったの?」
「いや……別に。」