hikari【短編集】
「……かーくん、きっとどうしていいかわかんなかったんだよ。」
少しして落ち着いた希は、そう言って杉田が用意したクッキーを頬張った。
「だって、私がたまーに名前で呼んだら照れて逃げちゃうし。多分今も同じ感じだと思うな。」
「そう……なのか?」
俺が『先生』って呼んだことは、そんなに破壊力があったのか─
「まぁ…嫌な訳じゃないはずだから。心配しないでいいよ。」
「ゆうやおにいちゃん、あそぼー?」
俺と希が話をしていたのをおとなしく見ていた茉央が、痺れを切らしたのかそう言って俺のズボンを引っ張った。
「…よっし、茉央!今日は何して遊ぼうか?」
俺にとって茉央は親戚の子みたいな感じで、とても可愛い存在だ。
そんな茉央のお願いは断れるはずがない俺は、しばらく茉央と楽しく遊んだ。