hikari【短編集】
ふーん…
杉田が、ねぇ──
『それに悠哉、先生って呼んだ以外にも恩師だとか、感謝してるとか言ったんだって?』
「まぁ、な。」
筒抜けかよ…
うわ…恥ずかしい。
『そりゃびっくりもするよねー…わかるわ。』
「……ふん。」
もう何とでも言えよ。
開き直った俺は、電話越しに聞こえる希の笑い声に少し眉を寄せた。
『でもね…悠哉。かーくん、すごく嬉しそうだったよ。あんな笑顔、初めて見たかもしれない。』
「………」
いつも一緒にいる希が初めて見る笑顔って、一体どんなものなんだろうか…
『私、その笑顔見て思ったよ。あー…今かーくんは、教師のやりがい噛みしめてるんだなー…ってさ。』
教師の、やりがい…
「なぁ……希。」
『ん?』
「杉田……今、いる?」