hikari【短編集】
昼間も言ったけど…
もう一度、な。
『………』
「俺、頑張るからさ。杉田も……頑張れよ?」
無言の杉田に向かって、意味ありげな言葉を放つ。
それは…
まだ杉田には言えない俺の『夢』のことを表していた。
俺はいつか必ず、この教師に追い付いてみせる。
でも…だからと言って、杉田には俺を待っててもらいたくない。
目標が立ち止まってるなんて、やる気失うだろ?
だから……
先に行ってて欲しい。
俺はそう思うんだ。
『…バカが。なんでお前にそんなこと言われなきゃなんないんだよ?…俺は言われなくても頑張ってる。』
「あっそ!ま、それでこそ杉田だよなー…じゃあ俺、明日の準備まだだから。」
『おぉ、じゃあな。また遊びに来いよ。……悠哉。』
「……!!」
あっちゃー…
相手は一枚上手だった。
切られた携帯を手に、俺は盛大にため息をついた。
でもすぐに…
自然と笑みが溢れたのだった。
−END−