hikari【短編集】
そう……だよね。
「…うん、ありがとう。」
こんなに優しい旦那様がいて、私は幸せ者だ。
「偉い、偉い。希、今日は泣かなかったな。」
かーくんの胸に埋めていた顔を上げると、かーくんはそう言って私の頭を撫でた。
「もう…!私、子供じゃないから泣かな……ん?」
あれ……?
私、今日本当に一回も泣かなかったっけ?
いや、違う。
衣装合わせの時、嘘だったけど泣いたよね…?
「さっきのあれは嘘泣きだろ?…ずっと一緒にいるんだ。それくらいわかる。」
あ……
バレてたんだ─
「…わかってて謝ったの?あんなにいっぱい?」
「うん。希、涙で俺を騙した気でいただろ?そうはいかないぞー?」
それからかーくんは『お仕置きだ』と言って、私をくすぐったりして遊んでた。
私はくすぐったさに耐えながら、いつまでも2人、こうやって仲良くしてたいな…と漠然と思った。