hikari【短編集】
そして…
時は過ぎ、結婚式当日。
「希……とっても綺麗よ。」
ドレスを着て、メイクも終えた私は今、お母さんと控え室に2人きり。
「お母さん……」
今まで色々迷惑かけたけど、お母さんはいつも私の味方でいてくれた。
面と向かって言ったことはないけど、お母さんにはとても感謝してる。
そんなお母さんの笑顔を見て、私は思わず涙が溢れそうになった。
「こら……泣いたらせっかくのメイクが崩れちゃうでしょ?本当にもう……しょうがない子ね。」
お母さんにティッシュを渡され、今にも溢れそうな涙を拭いた。
「お母さん……」
「…ん?なぁに?」
「今まで……ありがとう。」
私たちの結婚式は、小さなチャペルで私とかーくんの親しい人たちだけを呼んで行うささやかなもの。
披露宴もしないし、両親への感謝の手紙とか読む時間もないから、今伝えることにした。