hikari【短編集】
でも…
お父さんとお母さんに一通ずつ、ちゃんと手紙は書いてある。
それは後で渡す予定だけど、どうしても今、この気持ちを伝えたくなったんだ。
「希……」
「私…幸せになるね?」
「……えぇ。」
今度はお母さんが泣きそうになってて、私はそっとティッシュを手渡した。
「…っ、そろそろ…お父さんと一真くんも来る頃かしら?」
しばらくして、落ち着きを取り戻したお母さんが、壁にかかっている時計を見ながら言った。
お父さんとかーくんは、隣の控え室で2人で話があると言っていた。
あれから1時間は経ってるから、もうそろそろ話も終わる頃だろう。
―コンコン…
そんなことを思っていると、ドアがノックされる音が部屋に響いた。
「はーい。」
お母さんが返事をしてドアを開けると、入ってきたのは……
「希……」