hikari【短編集】
「かーくん……」
私の悩み抜いて選んだタキシードをカッコよく着こなした、優しい旦那様だった。
「綺麗だ……希。」
そんな恥ずかしいことをサラッと言って、かーくんは私の側に歩み寄った。
「…あ!かーくん、お父さんは…?」
「ん…?あぁ、まだ隣の部屋。一緒に行こうって言ったんだけど、希のドレス姿見るのが恥ずかしいからって……」
もう…お父さんったら。
「あら、そうなの?じゃ、私お父さんのところに行ってくるわ。あなたたちは2人でゆっくりしてなさい。」
お父さんの言い分に呆れていると、お母さんがそう言って部屋を出て行った。
自動的に……
かーくんと2人きり。
「……希。」
「……?」
「本当に、綺麗だよ。」
やだもう…
何回も言わないで─
かーくんの言葉に恥ずかしくなって、私は手で顔を覆った。
「…照れてんの?」
「……っ///」
「愛してるよ…希。」