hikari【短編集】
「……うん。」
「一真くんはいい人だ。あの人になら、俺も安心してお前を任せられる。」
お父さんの言葉に、止まってた涙がまた溢れそうになる。
「ありがとう…お父さん。」
それを必死で堪えながら、私はお父さんにそう言った。
今日はもう、感謝と涙の1日だな…と感じた。
その後すぐにそろそろ入場だという合図をされ、私はお父さんの腕にそっと手を添える。
いよいよ始まる。
緊張してきたなー…
結婚式ではお馴染みの行進曲が流れ出し、チャペルのドアが開かれる。
式に招待したみんなの盛大な拍手を受けながら、私とお父さんは、一歩一歩着実に進んでいく。
視線の先には…
誰よりも愛する人。
「…よろしくな、一真くん。」
「はい。」
気付けばもうバージンロードを半分以上歩いて、私はかーくんの側に来ていた。
「希、おめでとう。」
「……っ!」
かーくんの腕を取る前に、お父さんが呟くように言ったその一言。
私はそれを聞き、堪えていた涙が一筋流れ落ちた。