hikari【短編集】
神様……
もしいるなら見てて下さい。
私は必ず、愛するこの人と幸せになります。
「では…誓いのキスを。」
どこかで見てるかもしれない神様に祈っていた時、神父さんがそう告げた。
誓いの、キス……
嫌な訳がない。
むしろ嬉しいんだけど─
みんなが見てる前で、堂々とかーくんとキスするなんて、恥ずかしくない…?
そう思ってかーくんを見ると、かーくんは全部わかってるとでも言いそうな表情を浮かべ、一瞬笑って私のベールを上げた。
「………」
そして、私の肩に手を置いてじっと見つめた後、口パクで何かを言った。
『目、閉じろよ?』
わっ…わかってるよ!!
思わずそう叫びそうになったけど、ここはグッと堪える。
そんな私の反応を見て口角を上げたかーくんは、満足したのかそれ以上何も言わず、自分より身長が低い私に合わせて屈み、優しくそっとキスをした。