hikari【短編集】
訳がわからず呆然と自称俺の息子を見つめていると、はぁ…とため息をつかれた。
「早く目ぇ覚ませって。…母さん待ってるから。」
母さん……?
「希の…こと、か?」
「…あぁ。父さんが来ないと始まんないんだよ。…母さんの葬式。」
……………
おい…
こいつ、今何て言った?
希の葬式……?
「意味、わかんねぇ…」
「…父さんが辛いのはわかるけどさ、そうやって受け入れずにいたらいつまでも辛いんだよ。」
受け入れずにいる…?
当たり前だろ。
希は今日も、俺の前で元気に笑ってたんだよ─
それをいきなり葬式だなんだ言われても、『はい、そうですか』なんて言えるかよ…
「てめぇ…誰だ?希をどこへやった?返せよ!!」
「……っ!」
何かの冗談だ。
こんなの…嘘に決まってる。
「……っ!バカ!何してんだよ、一真っ!!」
怒りに任せて目の前の奴を壁に叩き付けると、誰かが部屋に入ってきて俺を取り押さえた。