hikari【短編集】
「は、る…と……?」
邪魔をするなと思いながら自分を取り押さえた奴の顔を見て、俺は驚愕した。
見間違えるはずはない。
こいつは…俺の親友、藤崎 陽翔だ。
なんかすごいオジサンになったように見えるが…
「いくら希ちゃんが亡くなって辛いからって、息子に当たることないだろ…?」
「……っ、大丈夫。俺は大丈夫だよ?陽翔さん。」
やっぱり陽翔か─
「でもなぁ……」
「いいんだ。父さんが辛いのはわかってるから……母さんのこと、すごく大切にしてたの見てたから……」
どうやらこれは本当のことらしいと、俺はその時悟った。
自分の息子のはずなのに名前が思い出せないのは引っ掛かるが、それは希を失ったショックからなる何かなのか……
「…悪かった。」
怒りに任せた自分のさっきの行動を悔い、俺は陽翔と息子に謝った。