hikari【短編集】
それから俺は、喪主として希の葬儀に参列した。
希は誰からも好かれる明るい性格で、友達がたくさんいたから、参列者も多かった。
参列者の誰もが希との別れを惜しんでいた。
もちろん、俺も─
「………」
葬儀が終わり、またさっきの和室に戻って来た俺。
少し気になって、さっき鏡を見たら、俺も結構なオジサンになっていた。
でも意識は28の俺だし、いくら現実っぽく感じられても、この状況はイマイチ理解出来ない。
「違う……」
そうだ、違う。
こんなの…現実じゃない。
「うぅ……っ!」
希がいない世界でなんて、生きてても意味がない。
嫌だ……戻りたい。
「の、ぞみ……」
この状況から逃げるように、目をギュッと閉じて顔を伏せる。
「…、……っ!」
ん……?なんだ…?
「…、……くん!」
声が……
声が、聞こえる。
誰かが…
俺を……呼んでる?