hikari【短編集】
「…かーくんっ!!」
「……っ、んん…」
あれ……?
ここは……どこだ?
「大丈夫?かーくん…」
「……!!」
ぼんやりする意識の中、聞き慣れた声がして、俺は即座にそちらを向く。
「……?」
「希……っ!本当に…?本当に希なのかっ!?」
「な、なに…?私は私だよ。…急にどうしたの?」
今俺の目の前にいるのは、間違いなく俺の愛する妻、希の姿だった。
しかも……
さっきの葬儀の時に見た少し年を取った希ではなく、俺の記憶にある希だ。
俺は希の存在を確かめたくて、震える手で希の頬に触れる。
手から伝わる希の体温が、今の俺にはとても暖かい。
「よかった……生きてる。」
「かーくん…?本当にどうし……キャッ!」
夢だったんだ…
さっきのは、夢─
「希ぃ……」
そう確信した途端、関を切ったように涙が溢れ出し、止まらなくなり……
希を抱きしめながら、俺はしばらく泣き続けた。