hikari【短編集】
「もう……泣き虫。」
いつもは俺が希に言うそのセリフも、今回ばかりは言われても仕方ない。
「でもなんで……あんな夢、見たんだろ?…っ、俺…今すごい幸せなのに……」
「かーくん……」
やっぱり、俺が過去にやったことは消えない。
今はこうして希と一緒にいて、幸せなんだけど……
それが突然終わることだって、あり得ない訳はない。
あの時みたいに…
俺はまた、大切なものを失ってしまうのか…?
あの恐ろしい夢は、その前触れだったりして─
「俺……っ!」
「…大丈夫だよ、かーくん。大丈夫。」
そう考えると不安になってきて、どんどん弱気になる俺を、希はそっと引き寄せた。
「………」
「さっき約束したばっかりでしょ?私は、絶対かーくんより先には死なない。それに、結婚式でも誓ったもん。どんな時も、かーくんだけを愛するって……」