hikari【短編集】
そう言っている希の左手の薬指には、シンプルだけど綺麗に輝く指輪が…
杉田の奴…
やりやがったな。
「かーくんが守ってくれたんだから…私は頑張らなきゃいけないの。今は泣いてる暇なんてない。」
「希…」
いつの間にか、希は前よりもずっと強くなってた。
杉田と離れて悲しいはずなのに、涙を堪えて『頑張る』と言っている希が、俺には大きく見えた。
「よし…じゃあ俺は、用心棒にでもなりますか!」
「え…?」
やっと海から視線を変え、俺の方を向いた希は、不思議そうに瞬きをしていた。
「王子様が帰って来るまで、お姫様をお守りする。それが今の俺の役割だ。」
そうだろ…杉田?