hikari【短編集】
アイツって……
「…渚ちゃんのこと?」
「そう、そりぇ!アイツは目がわりゅいのかー?こりぇ見えねーのかっ!?」
一真はそう言って、俺の目の前に左手を出してきた。
一真が見せたいのは、左手薬指の指輪で間違いない。
「大丈夫、渚ちゃんもそれぐらい見えてるよ。」
だんだん酔った一真の扱いに慣れてきた俺は、諭すようにそう答えた。
「じゃーなんでアイツは俺に気ぃありゅ素振りすんだよー!!!」
「…うん。実際一真に気があるからでしょ?見てたらわかるもんね。」
渚ちゃんあからさまだし─
一真は面はいいけど、本当に名前通りの家族一筋な真っ直ぐ男なのに…
なんで渚ちゃんがこんな脈のない男を好きでいるのか、俺には理解不能だ。