hikari【短編集】
一真は恐らく、自分の酒癖の悪さは希ちゃんに隠してるはずだ。
一真の名誉の為に、ここは何も言わないでおこう。
そう心に決めて、俺は一真を支えながら寝室まで運んでやった。
「…一真、爆睡だね。」
「そうですね…疲れてたんでしょうか?かーくん、私の前ではいつも『平気だから』って笑うんです。」
寝室を出て、水を持って来てくれた希ちゃんは、ため息まじりにそう言った。
「また無理して倒れなきゃいいんですけど……」
希ちゃん─
「…大丈夫だよ。あいつ、本当に自分の限界知らないっていうか…とにかく無理するけど、今度からは俺も注意しとくから。」
一真……
お前は本当に、いい奥さんもらって幸せ者だよな。
そう思いながら、俺は希ちゃんを励ますように肩をポンッと叩いた。