hikari【短編集】
「………」
俺の予想通り、佳純はしばらくしてから下を向きながら戻って来た。
「あれ?佳純、バカな俺はもう置いてったんじゃないの?」
いくら酒に強いと言えども、多少の影響力は受けているようだ。
せっかく戻って来た佳純を、またいじめるような真似をしてしまう。
普段はあまりそんなことしないのにな……
俺、酒に酔ったらSに目覚めんのかなー…なんて。
「なぁ、か……っ!?」
次は何してやろうかと企んでいた俺だったが、急に歩み寄って来た佳純に抱き付かれて思考停止。
「…置いてかないよ。」
「………」
「陽翔くん…私も愛してる。だから私も……陽翔くんのこと、幸せにする。」
そう言ってさらに腕の力を強める佳純に、俺はもう何も言えなかった。
「ずっと…一緒だよ?」
その言葉に答える代わりに、俺は愛する人を力いっぱい抱きしめた。
−END−